2019年8月28日水曜日

凡庸な片口製作

結構前に頂いたMさんの論文。
興味がある方奈良大学へGO!





今日は真夏の読み物、、的な感じで結構前に頂いたMさんの論文の感想、、、とここ1か月の制作成果の報告です。



実はこの論文、今年の3月にMさんから頂いていて、「工芸の美についてーアレントと使用対象物」というタイトルを見た瞬間あまりにも難しそうだったので、文中にほんのわずかに載っている挿絵を眺めて読んだ気になっていたのでした。しかし、今度Mさんにお会いした時にまさか「あの挿絵めっちゃ最高でした~」的な事は言えないので、夏休みの読書感想文の気持ちで、再読したのでした。

「凡庸な悪」を論じたハンナ・アレントの工芸や芸術にまつわる言葉と柳宗悦の民芸論を比較対象しながら工芸の核を探ってゆく、、、、という論文なのですが1回読んだだけではなかなか理解が難しく、この読書感想文ブログをアップするのに7月末から読み始めてほぼ1ヵ月が経ってしまいました。

主題になっているのは民藝でいうところの用と美が「用vs美」という対比関係ではなく、「用即美」的な感じで使用対象物に「美」は宿る、、、といった用途(機能)と美についての関係性について語られているのですが、工芸品の用途と美について諄々と論じた言葉は強烈な説得力があり、何回か読んでゆくうちに何だか自分もそういったベタな工芸品を作ってみたくなってきました。

個人的に腹の底では「用と美」という二つの要素は相容れぬ別々のもの、と思っていて「用」のいわゆる利便性みたいなところを追求していくと、ある程度のところで美しさに執着出来なくなってくる、、、制作中に「美」という要素を諦めなければならないというジレンマは常につきまとう課題で、また逆も然り、、、、という自論がこのMさんの論文を読み進めてゆくうちに少しづつ崩れて行きました。

やっぱ「用即美」だ、、、と直近に制作した片口の木地、、、、の画像です。




片口のボディー。
むんずと片手で持てるように楕円形にした。


注ぎ口制作。
ケヤキは硬いので、曲面が入り組んだ形のこの部分は柔らかい朴の木で作った。 

小さくて作りにくかったので、口の先の塊は残しておく。

裏側。

むんずと持てる「用即美」の片口。

ボディーは欅。硬くて辛かった。

せっかくなので注ぎ口部分は塗り分けようかな、、、
ちょっと迷っている。



という感じで論文ありがとうございました。というブログです。