2017年7月30日日曜日

ダイマクション・バー

先日削った「管」

今日は昨日の中塗りで使った「管」について書いてみようと思います。

「管」⇒「くだ」というのですが、漆を塗るのに欠かせない治具の一つです。
漆を塗る、、という行為は勿論手で持って塗るわけですが、漆は油汚れの着いた面ではうまく硬化しません。
なので、素手で触ったりでもしたら大変で手脂が付いた部分が乾かなくなってしまいます。

そこで写真の木の管を器物につけて管を持って漆を塗付してゆきます。


びんつけ油の入ったスチール缶と「管」

漆は硬化するのに数時間かかります。ですので漆を塗った後そのままにしておくと塗った液面が下方に垂れ下がり均一な塗膜にならない為、刷毛で漆を塗付した後は必ず天地を交互に返して、均一な塗膜を維持しながら硬化させてゆきます。
そのため、器物を天地にひっくり返す機会につけます。
下の写真の「管」は機械管「きかいくだ」とか、輪島の方言で「ギッチャリくだ」と呼ばれています。


管を付けた新作スプーン。

管を取った後。


管は鬢付け油でくっつけます。
この手の手法はびんつけ油を使うという事から察するにどうやら相当古いやり方、、、だと思うのですが、その起原は今日はあまり考えないようにします。





びんつけ油は油分ですのですので漆の硬化を阻害するものなのですが、他の油脂分よりも漆との馴染みもよく多少の研ぎ残し(びんつけ油を取った後は綺麗に砥石で油分を研ぐ)があっても問題はありません。
おそらく蠟と松脂とえごま油を混ぜてびんつけ油はつられるので、そのせいだと思われます。(蠟燭は松蠟と漆の実から作られる漆蠟と2種類ある。漆蠟の方が古い。)

これがびんつけ油。人肌で揉んでゆくとベタベタした練り消しみたいな感じになる。



昨日塗ったアイス用のスプーン。

反転させながら乾かしてゆく。

塗る前のスプーン。


返し板と呼ばれるお盆状の板の上に乗せて上塗場へ運ぶのですが、こういった道具も輪島意外では使わないものなので、産地の仕事というものの汎用性は希薄だなあと仕事をしてると毎回思います。
こんな感じ。


今回は、こういった感じで作業工程のちょっとした紹介です。

出来上がりが気になるという方ご連絡下さいませ。。。。