木地固め。木地に漆を塗り導管の吸込みを止める、工程。 |
思考が膠着する月末、何とかその様になるまいと、頑張ってはいるものの今こうしているうちに、脳内がアレ、ブレ、ボケの様相を示そうとしております。文字は荒れ果て判読出来ず、考えがブレまくって何を言わんとしているのかさえ見失い、自我を消失し何者か分からなくなるまでボケはててしまい、ブログの存在すら知りえず、なぜ、言語らしきものを書きなぐろうとしているのか、来たるべき言葉を思い出せなくなる前に、今日は下地箆について大きな不安を考えてみようと思います。
先日の事なのですが、いつも地着け用のヘラを分けて戴いている輪島の木地師Yさんへ毎度のように箆を数本売って頂きたくお電話を入れたのですが、
「昨年暮れに、僕も仕事を辞めました。ヘラくらいなら、まだ何本か残っているけど、、、、、」
と、恐れていた返事が飛び出して来ました。
それもそのはずYさんも、もう80歳をこえているし、手先の仕事とはいえそうそう長くは続けることは出来ないと、知りつつもいざ、そういう事になってしまうと、脳内がアレ、ブレ、ボケでいっぱいになってしまい、ただ呆然とするしか手がないのです。
漆器の仕事は、下地で決まる、、、、と言っても過言ではありません。まして、その下地用のアテの良材でできた箆木は何が何でも必要な道具です。堅地(今、僕らが行っている下地法)は、能登産の珪藻土を下地用の漆に混ぜ込んだものを箆で押さえつけるように塗付していくのですが、砂状の珪藻土を混ぜた下地漆はザラザラとしている為、他の材質の箆木では直ぐに擦り減ってしまい、代用出来ません。(主に会津や他産地では下地箆にはヒノキやシンシュウマキを使います)
能登産の珪藻土からなる地の粉を効果的に塗付するには良材のアテ(あすなろ)の箆しかないのです。
そして、良材を手に入れるというのも大いなる才能で、材木を外見だけで、中身の良し悪しを判断しなければなりません。
どんなに見た目が綺麗な材木でも、製材してみたら木目が捩れていたりする事も多く、皮のついた丸太から木目の具合を見抜く、、、というのもなかなか難しいものなのです。たとえ仮に潤沢な経費を使っても、そうは良い材料など手に入れる事は簡単には出来ません。
そういった、ある種の才能を駆使し熟達した経験値を持った氏が仕事を辞めてしまって、どういうふうに、克服出来るのか、、、、
今のところ、ただ呆然と立ち尽くすしか手がないようです。