ジャック・デリダ、他の岬 |
今月のブログ更新がおろそかになってしまった最大の原因、今日は夏休み(風邪で寝込んで何もできなかった)で読んだ本の話をしようと思います。
上の画像にもあるようにデリダの素敵な本です。ペレストロイカ後にデリダが上梓した本なのだそうですが 可愛い装丁に騙されるな。といわんばかりのデリダ節、、、、、。
ペレストロイカ後にデリダが東西のヨーロッパにおける先端的岬、先端的資本主義、を同一化してとらえて脱構築しながらもヨーロッパを一つのものとして見てゆこう、、、、、、と中々手強い内容なのです。
いつも上京の折に立ち寄る書店で求めたのですが、店主曰く東京では定食屋でのランチタイムにも読まれているのだそうで、この難解なレトリックは都民のささやかな桃源郷なのだそうです。しきりにキャップ(岬=CAPと資本=CAPITALとを同定した言葉)を引き合いに色々に思考を展開してゆくのですが、真夏の風邪のせいかヨーロッパというより寧ろ古代東南アジア一体の文化概要の暗喩に思えてきたのでした。
個人的な話なのですが、スプーンは以前から面白いと思ったモノは手に取る様にしており、この同じ様な形状で異素材で作られた東南アジアのスプーンの事がこのデリダ氏のあの手この手の論述を読みながら脳裏をよぎりました。小さな閉ざされた様に見える文化も大きな視野で捕らえてゆけば自ずと共通する輪郭が見えてくるもので、この小さなスプーンですら文化的な末端の一つなのだ、と何やら熱におかされた気分になってしまいました。
勿論、デリダ氏はそんな自己同定化から様々な方向へと思考を巡らせてゆくのです。
難解な本は夏風邪を癒す力があるのかもしれません。
皆様是非。
ティモール、水牛角でできたスプーン。 |
フィリピンのココナツスプーン |
栞に使うには少し大きい。 |
栞に使えそうでココナッツ独特のカーブが実用化を阻害。 |