2017年9月26日火曜日

朱の粉の事。

 先日のツイッターでの朱の粉の画像を纏めてみました。

朱の粉と言ってもいろいろとメーカーごとに色や比重が違っていて、一番粉右側の黒田朱というメーカーのものを今回は練り合わせて朱漆を点てた、、、というブログです。

真中「日華」が一番メジャーなもの。


古くは朱の粉は水銀鉱山から採掘された、水銀の精製されない前段階のものを漆に混ぜ込み朱漆としていました。
精製されない前段階の赤色の無機水銀は体内に蓄積されない為、無害で昔から様々な顔料として生活の中で使われて来ました。

下の画像の俗に根来(←ねごろ)と呼ばれる朱漆器(古い物だと平安時代の物もある。)はそういった顔料をふんだんに使用した塗りを施したものです。

朱は丹とも呼ばれ、水銀が不滅の象徴であったように古代中国では薬として服用していたそうで、日本にもだいぶ古い時代にそういった丹薬信仰が伝わったようです。
主に僧侶のような特権階級の人々の間で、そういった丹薬信仰を反映した朱漆器が使われるようなって行きます。



右側の赤いヤツが根来。

今回合わせた黒田朱。比重が重くて赤みが強い。

袋の中。

朱の粉は粉の状態では粗い粒子のものも混ざっています。
なので、ほんの少しの漆と練り合わせてペースト状にしたものを下の画像の板と棒状の角材を使って少しずつ練り上げて行き粗い粒子を潰して滑らかにします。



名前が分からない道具。板と棒。

練り上げた朱の粉。見た目にトロリ感があるが、硬い。

生キャラメルよりも硬い、練った朱の粉。


よく練った朱の粉は、粉と同量程度の漆と混ぜて朱漆の完成。
漉し紙で10数回漉して、漸く上塗り漆に使われます。

今回はついでに粗漉しの画像も載せました。


漆茶碗に漉し紙を撫で付けます。

朱漆を流し込み、 




箆を使って最後の一滴まで茶碗へ、

漉し紙を交互に織り込んで、

こんな感じにして、

ウマにかけて漉します。

ゆっくり漉してゆくのがコツ。


と、こんな感じです。