2019年7月15日月曜日

セントラルドグマは大陸系。

L型スプーン。



 今日は以前のプロパーアイテム啓介作のL型スプーンをリメイクしてみた。。というブログです。

原型が身近なアイテムなだけに同じ様な雰囲気にはしたくない、、、というのが本音で、じゃあリメイクでも何でもないただのいつも通りの創作じゃ、、、となりがちなのですが、今回はあえてL型スプーンのフォルムをなぞりつつ且つアジアの古いところの匙をセントラルドグマに据えて制作しました。

もの凄く簡単に乱暴な説明をすると父親が作ったL型スプーンと古道具の匙を足して2で割ったスプーンを作る、、、という感じです。
しかし、この足して二で割る系の制作は根幹の部分が似たような性質の物同士の場合は結構すんなりとできるのですが、全く出自と足場の異なるモチーフを足して二で割る、、、となると結構厄介で、素材の違いもさることながら作られた時代の違いや使い勝手の違いをどのように克服するか、、、といった様々な問題へのアプローチを考えなければなりません。
上手く説明できないのですが、ラーメンと素麵を足して二で割って創作ペペロンチーノを作りました的な感じの制作だったような気がします。


もともと、アジアのスプーンは日本の粘りの強いふっくらとした米ではなく粟や陸稲、又は古代中国のように一度蒸した米を水で洗い粘りを取りパラパラとくっつかない米がより気高い食べ物だ、といったある種のスノビズムに基づいた米食圏内の道具なので、全然日本の食卓の風景からは遠いところのアイテムという雰囲気が強い感じがします。

一方父啓介が作ったL型スプーンは本人に聞いたところカレーライスみたいな物を食すときに使い勝手のイイものを、、、と漠然とした「昭和」の食卓を前提としていて、この昭和の昼下がり感とガチガチのアジアの歴史のトーテミズムが果たして混ざり合うのだろうか、、、というところが最初の印象でなかなか手強い制作でした。



今回制作した新型L型スプーン。

新型の形は繊細さを表現したかったのでノコで抜く時も結構神経を使う。


結果から言ってしまえば、今回の制作ではフォルムから追って行き使い勝手は後から修正していく、、、といった感じで、先ずは大陸のスプーンの印象を掴んだ後L型スプーン感
を味付けて行きました。この主軸となるべきモチーフの印象を掴むというところは創作の要諦のような気がします。
その後何度か試作を経て今回のフォルムに行きついたのですが、自分の中ではまずまずの出来か、、、、と思える物が作れたような気がします。




大陸系のスプーン色々。10世紀~19世紀。

スプーンクロニクルの中に入れてもそこそこ違和感を感じない出来かと。

L型スプーンと並べてみた。
新型の方がアジア感「強」。

ズラリと。

超ズラリと。

、、、、と塗り上がりましたらまたご報告いたします。