工芸の最終的目標の一つに気品という表現が或ると感じております。これは工芸に限らず書であれ、絵画であれ、音楽であれ、全ての物事について云えるはずです。そしてそれは得ようとして得られるものでもなく、努力をしても得られるものでもなく、現代の全ての物事においてそれを表現する事が出来る人など誰一人として、いないのではないか、と私は密かに思っております。
例えば光悦、例えば王羲之、例えば牧谿、例えばフェルッチョ・タリアヴィーニ、この様な過去の天才達の作品には必ず気品というものを感じ取れるような気がします。
現代人には気の遠くなるような高見にあるものと思われます。けれど今の世の中はそれとは正反対の物がもてはやされる傾向にあるような気がしてなりません。
相田啓介作 4寸汁椀 |
4寸汁椀 |
裏側 |
高台裏 |