2015年6月30日火曜日

桧の皮の板状の道具の報告


もうこんな時間、、、。今日で6月は終わり。明日から7月。今の時期は湿度気温共に漆工にはとてもいいのであります。だからという訳ではないのですが、進行中の工程。桧皮箆を使った作業のお話しをしようと思います。
桧皮箆とは、上の写真の箆なのですが、桧の樹皮を数か月間水に晒して余分なものを洗い流し、繊維状になったものを漆を染み込ませた木綿等の布で包み板状に仕立てた箆のことで、箆先を小刀で削り出して使うのですが箆というより刷毛に近いのかもしれません、、、。
で、どの様に使うのかといいますと、、、、これがなかなか説明の難しい工程なのです。
現に僕も弟子時代に師匠の隣にへばりついて仕事を眺めておりましたが、この工程だけはなかなか理解し難く、なにやってるんだろーなぁ・・・・と訳の分からないまま数時間、無言の気まずい空気をどっぷり吸い込んだ記憶がございます。こうやって書いている今以てしてなかなか表現の難しさにキーボードのボタンが重く感じる次第でございます。

桧皮箆
お椀の口縁部分は特にぶつけて壊れることがとても多い、のですが、丈夫な下地が塗付されていれば、そういうトラブルも少なくて済むはずなのです。
なので、口縁部と高台縁は取り立てしっかりした下地が必要となるわけです。
作業工程は口縁部分に綺麗にきっちりと下地を施します。そしてその直後に上の画像の桧皮箆に漆を染み込ませガサガサと撫でつけて、せっかく綺麗に付けた下地を荒らして行くのです。
ソルティードックの様に口縁部分がガサガサと荒れたお椀が流れる様に目の前に並べられてゆくのを見ながら、弟子の頃の僕は全くその行為が理解できず、なんで綺麗に付けた地の粉を桧皮箆なるもので荒らしてガサガサの表面にしてゆくのだろう????と思ったのでありました。

物凄く簡単に説明するならば、口縁部分に漆分を付け足す行為なのですが、こうやって下地がガサガサと荒れていると次に付ける下地の食いつきも良く剥がれにくいより一体的な下地となるわけです。数十年前の輪島ではどこの塗師屋でも普通にしていた仕事なのです。


このガサガサ感。伝わりますでしょうか。

ここもガサガサ。

下地途中のお椀

こんな感じの作業工程の説明
なかなか作業工程を言葉で説明するのが難しく、散漫になってしまいました。すみません。